2010年 01月 24日
OCEANS |
晴れの日の青、曇りの日の青、夜の青、透き通った青、濁ってしまった青・・・などなど。
水の中から見上げる幾筋もの光のドレープは、青いグラデーションのオーロラのよう。
その海の青には、そこに生きる生物の色がよく映える。
鯨のディープなグレー、イルカのシルバー、サメのインディゴ。
蛸、イカ、カニの赤、カラフルな珊瑚礁の魚の色、空や陸から訪れる鳥、アザラシ、イグアナ、カメ・・・。
様々な生物たちが、自然の摂理に従ってあるがままに生きている。
それが地球のリズムなのだろう。
食べる、食べられる、産み、育てる・・・。増殖しても増えすぎることのない絶妙な生態系のバランス。
歌う鯨、クラゲのダンス、飛び回るイルカ、セイウチ親子の抱擁、子供に泳ぎを教えるアザラシ、コブダイのぶさいくな顔、弾丸のように空から海に突き刺さりつつ潜る水鳥などなど、実に表情が豊かである。
シャコとカニの縄張り争いのシーンが総合格闘技のようであった。
完全ノックアウトされ、白い腹を見せてひっくり返り、砂というリングに沈んでいく敗者・・・。
自然は厳しく、復活は無い。白いタオルを投げ入れる余裕もなくあっけなく死んでしまった。
そして、美しいBGMと宮沢りえのナレーションの中、私の頭の中ではゴングが鳴り響いていた。
おっつあん、真っ白だぜ・・・。
地球は、おっさん(先述のおっつあんではない)の髪の分け目のごとく7:3で、7が海である。
そう思うと改めて壮大やな~と思うわけで。
「地球は青かった。」とガガーリンが言ったのも頷けるね。青は海の青だから。
感動するほどに美しいものを見ると、壊したくない、守りたい、守らなければ、と思うのは、人間の本能でしょうか?
そう思うと、監督は成功かもしれない。
前半の心を打たれるような美しい映像の後、流れてきフカヒレ猟、捕鯨、イルカ猟のシーン・・・。
私は完全にブルーになってしまった。オーシャンズだけに、海の色の如く。
ヒレとしっぽを切られて、生きたまま海に捨てられて、泳ぐこともままならず、口をぱくぱくさせながら必死に泳ごうとするけどもただ沈んでいくブルーシャーク(ヨシキリザメ)。
写っているのは一匹だけど、毎日どこかで何百匹、何千匹とこのようなことが行われている。
サメは害獣(と勝手にみなしている)だから??ていうか、食す需要とビジネスがあるからだ。
クジラも、イルカも叱り・・・。
イルカ猟のシーンは、青くなく、血で赤く染まっていた。
いずれの猟も、映画中の猟師(役?)は、アジア人である。
これらのシーンによって「非難」というメッセージ性があることを感じた。
海のシェパードさん風?
「海の生き物が傷つくシーンは、人為的な映像処理をしている。」のだそうで、「再現フィルムです。(Byあなたの知らない世界)」的な感じか。
わたしゃ、フカヒレもクジラもイルカも食べないが(「食べませんやん!」By小藪)、アジア人的に非難が向いてっぽい部分にはなんとも歯にものが詰まったような感覚が、正直、ちょっとある。
つーか、私、実は昔、「フロリダの大学で海洋生物学を専攻する」ってのが夢やってんよねー。
つかの間の夢やったけど(笑)。
と、いろいろな意味で自分の中の様々な感情を静か~に沸き立たせるような、そんな映画であった。
by mandalasoap
| 2010-01-24 22:47
| 映画マンダラ